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口臭について

口臭について

          

アナタの口臭はニオイますか?

この文章をお読みの方の中に、口臭にお悩みの方は居られますでしょうか。ご自分ではなく、周囲の方の口臭が気になる方も居られるかもしれませんね。今回は「お口のニオイ」について、書かせていただきます。

 

皆さんが普段気にされる口臭には、主に2種類あります。ひとつは何かを食べた後の一時的な口臭、もう一つは何もしていなくても感じる慢性的な口臭です。言い換えると原因が外にあるのか中にあるのかの違いです。前者の代表格はニンニク臭で、後者の代表は歯周病による口臭です。

食後の口臭については原因がはっきりしているので、その後誰かに会うなどの予定があれば事前に注意すれば済みますし、すぐにハミガキやうがい、ブレスケア製品でも緩和できます。一時的ニオイではありませんが、原因が外からやって来るものの中で、もっと厄介なのがタバコ臭です。喫煙習慣のない人がある人の家に行くと、すぐにわかりますよね。

でも本人はさほど気にしていないし、自分が行くところ行くところにタバコ臭を振りまいているから、理屈ではわかっていても実際には、タバコ臭のある空気とない空気の区別もつきません。タバコそのものの害は今回のテーマではないので割愛しますが、結論は禁煙しかありません。

そしていよいよこれからが、歯医者が述べる口臭の本題です。原因が口の中で生じる慢性的な口臭です。この頃はいろいろなサイトで説明されていますので、ご存じの方も居られるかもしれませんが、学問的には生理的口臭病的口臭に分けられます。それぞれもさらに細かく分類できます。

でも一般の方にとっては、実はこの分類はあまり重要ではありません。実生活においては、それほど明瞭な境目がないからです。一般の方に知っていただきたい点は、以下の4点です。

口臭について

また一般の方というほどポピュラーな話ではありませんが、実際にはほとんど口臭がないのに「自分の口がクサイ」と思い込んでいる方がいます。これを自臭症と呼びます。こちらはどちらかというと思い過ごしか心の病に分類されるので、これも今回は詳しい説明を割愛させていただきます。

口臭について

では①からお話しします。口臭はどこで発生するか?「口に決まってるでしょ?!」と普通の人は思いますが、純粋な口の中(唇から喉までの間)とは限りません。ニンニク臭やアルコール臭は、胃で分解され腸で吸収されたニオイ物質が、血液を通じて肺から出てきたものです。また食べ物に限らずある種の病気では、体内で産生されたニオイ物質が、同様の経路をたどります。お酒を飲んだ後にクルマを運転すると、いくらうがいをしてもハミガキしてもブレスケアしても捕まるのは、このためです。

口臭について

次に②ですが、口臭を感じる方の大半はこれです。純粋な口の中で発生する口臭の原因物質は、口の中の食べかすや代謝された粘膜組織を餌にして細菌類が作り出すニオイ物質(硫化水素、メチルメルカプタン、ジメチルサルファイドetc.)ですが、これらはどんな人の口の中でも絶えず少量ずつは生産されています。唾液には物理的に食物や微生物などを洗い流す働きと、細菌類を殺したり活動を抑える、あるいは産生物質を分解するといった薬理作用がありますので、唾液が順調に分泌されていれば、気になるほどの口臭はほぼ発生しません。取り外し式の入れ歯をお使いの方は、入れ歯の汚れや乾燥にもご注意ください。当然ながら唾液は物を食べるときにたくさん出ますので、食後のニオイは厳密には食べ物臭であって口臭ではありません。

逆におなかが減った時には唾液はあまり分泌されていませんので、口臭が発生しやすい状態です。朝起き抜けとか夕食前とかに口臭を感じやすいのは、このためです。イビキをよくかく人は夜中に口を開けて寝ていることが多く、口の中が乾くので余計に口臭も発生しやすくなります。つまり同じひとりの人の中でも、1日の生活サイクルに沿って、口臭の程度は絶えず上下しているわけです。これを生理的口臭と呼びます。これだけなら特に気にする必要はありません。(イビキには、やや別の問題がありますが・・・)

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    気にする必要があるのは③です。歯科で言えば歯周病(歯槽膿漏)重度のムシ歯です。鼻は口とつながっているので、蓄膿症や扁桃炎の人でも同様です。共通しているのは結局ウミのニオイです。歯周病は大抵の成人に多少は存在していますが、重症化(歯槽膿漏)すると歯の根っこと歯グキの隙間で細菌が繁殖してウミが溜まってニオイます。ムシ歯でそこまでなる方はめったにいませんが、進行して歯の中の神経が死んで腐るとニオウことがあります。

    成り立ちは少し違いますが、胃がんや食道がんではゲップと一緒にニオイが上がってきます。糖尿病や肝臓病、ピロリ菌感染、便秘などでは前述の血液肺経由でニオイが出てきます。口臭と言ってもそれぞれに原因物質が異なるので、それぞれの専門家が嗅げば、ある程度推測ができます。歯医者なら歯周病やムシ歯によるニオイはわかりますし、それらが原因ではなさそうだなというところまではわかります。それ以上のことは内科などに紹介して調べてもらう事になりますが、大抵はそれまでに元の病気の症状が出ています。

    いずれにしても③で原因となるのは慢性疾患です。口臭を無くすというよりも、原因となっている病気を見つけ、早く治す、あるいは進行を止めることが大切です。歯科医院ではその中の歯周病とムシ歯を担当する、ということになります。歯周病も慢性疾患ですから、繰り返してのメンテナンスで進行を止めることが大切というわけです。

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    残る④についてですが、慢性的にお薬を飲まれている方は、もらっている薬名で一度ググってみて下さい。結構多くのお薬で、副作用として「食欲不振」や「口渇」が出てきます。食欲不振になれば、あまり食べないので、唾液の分泌量も減りますし、その結果口渇(口の中が乾く)にもなって、口臭を発生しやすい状況になります。特に抗ヒスタミン薬(花粉症などの薬)には鼻水を止める働きがありますが、これは鼻汁に限らず唾液の分泌も抑えます。副作用の少ない新薬も開発されていますので、必要に応じて処方されているお医者さんでご相談ください。

    以上、口臭の原因や注意点を記載しました。気にしすぎるのも良くありませんが、ひそかな支障が隠れている場合がありますので、気になる方は一度歯医者さんを受診してみてください。